劇団員 yuichiからの便り。 つぶやき続いたら コーナー設置☆

『no music when you walk』

 

 

会社帰り道。

 

目当ての時刻発の電車に

間に合うように足早に歩く。

 

渋谷駅は人が多いが、数年前に

編み出した独自の早歩き

メソッドで横方向の人流れも、

縦方向の人流れもスルリヒラリと

すり抜ける。

改札も問題無い。

よし順調だ。

 

と思った矢先、思わぬ障害物に

出くわす。

 

イヤフォンで自分好み

の音楽を聴きながら、サッと

改札手前で割り込んできた

背の高い若い女性だ。

 

あまりに自然な斜めからの割込み進入だった為、思わず感心した。

 

恐らく彼女も独自のメソッドを

編み出し、目的時刻の電車に間に合うように急いでいるのだろう。

 

わたしより背の高い女性だったが、トルクはわたしに分があり、

誰の目にもわたしの歩調の方が

早かった。

 

改札からホームまでは動く歩道が

二本ある。

 

一本目の動く歩道に差し掛かる手前でわたしは彼女を抜きにかかった。

 

と、彼女は歩調を早めた。

 

完全なるブロッキング(※自分を追い越そうとするのを防ぐ行為)

である。

 

そこでわたしはビヨンディング(※自分に対してブロッキングする相手を追い越そうと試みる行為)で対抗したが、彼女のブロッキングは見事で、敢え無く一本目は彼女にしてやられてしまった。

 

二本目のウゴホ(※動く歩道のこと)までの距離は約50メートル。

 

再度ビヨンディングを仕掛けるには絶好の距離間だ。

 

わたしは右サイドからの

ビヨンディングを仕掛けた。

 

彼女は右ブロッキングで対抗し、

左ビヨンディングには左ブロッキング、揺さぶりビヨンディングには揺さぶりブロッキングと、

二本目ウゴホ手前の攻防も彼女に軍配があがった。

 

 

電車には全く問題無く間に合うが、二本目でどうにか彼女を負かそうと、ビヨンディングと併用すると確実に効果の高い、『忍び寄る靴音』と『わたしは此処に居るよ咳払い』を使わせてもらった。

 

これらを併用すると周囲からの

わたしへの悪いイメージが増幅

されるが、今はそれどころでは無い。勝ちたい。

 

がしかし、彼女は平然とブロッキングを続けるのである。

 

しまった!わたしはある事に

気づいた。

 

そう、彼女は音楽を聴いている。

 

兎に角、わたしの必死が聞こえないのだ。

 

 

二本目の攻防も彼女に負けたわたしは、ホームで彼女を抜き去ったが、ただただ敗北感と、ストーカーみたいな動きを終始続けてしまった焦燥感で、いつもの三号車に

乗り込んだ。

 

 

人間だもの。

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